【富山県ウェルビーイング推進課・牧山課長インタビュー】 “転勤族を歓迎”してくれる!?富山県の施策とは(前編)

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令和4年6月から始まった、とやま転勤族コミュニティ「E-TENKI(いーてんき)」
LINEオープンチャット内で富山にご縁のある転勤族のみなさんが気軽に交流・情報交換できる場として利用いただいています。


「E-TENKI」を主催しているのは富山県ウェルビーイング推進課。運営は一般社団法人TENKINLABが行っています。
全国各地に転勤族のコミュニティは様々ありますが、県主催のものは多くはないのではないでしょうか?


今回は、富山県ウェルビーイング推進課の牧山課長に、「E-TENKI」発足の経緯や、転勤族とのかかわりの中で今後、富山県の目指す姿についてお伺いしてきました。


前編では、そもそもウェルビーイングってなに?どうして転勤族に着目したコミュニティを富山県が始めたの?というお話をお伝えしていきます。


牧山課長

富山県ウェルビーイング推進課・牧山課長



富山県ウェルビーイング推進課ってどんな部署?


―――令和4年度から始動した富山県ウェルビーイング推進課。全国でも珍しい名前を冠した部署ですが、その狙いはいったいどんなものなのでしょうか?


牧山課長:まず、ウェルビーイングというのは、子どもからお年寄りまで、みんながそれぞれ日々の生活に満足して暮らしている、という状態であると思っていただけるとわかりやすいかもしれません。


富山県では、ウェルビーイング推進課の発足に先立って、令和4年2月に富山県成長戦略が策定されました。


この成長戦略の中心にあるのが“「真の幸せ」ウェルビーイング”という考え方なんです。
富山県成長戦略について具体的にお話しすると、富山県のウェルビーイングの向上により、優秀な人材を県内に引き留めるのではなく、人材の出入りを活性化させようというものなんです。
そうすることで、次世代の価値を産む人材が富山県に育ち、県外からも引き寄せられて富山県に集積する。
そのような多様な人材により新たな産業や価値を創出することを、成長戦略の核に据えています。


その好循環の根底にある富山県民一人ひとりのウェルビーイングってなんだろう?どうやったら実現できるんだろう?ということを追究しながら、この考え方を県民のみなさんに広めていこうと活動しているのが、私たちウェルビーイング推進課です。


富山県ウェルビーイング推進課

そもそもウェルビーイングって?


―――ウェルビーイングって、なんとなくはわかる気がするけど具体的にどういうことなのでしょうか?
その要素は一人ひとり違ってなかなか定義づけもできないし、比較的新しい考え方でもあるから言葉の意味を捉えようとすると難しいですよね。


牧山課長:様々な分野の学者がウェルビーイングについて研究している中で、参考になる話が3つあるのでご紹介しますね。


1つ目は、マーティン・セリグマン博士の「PERMA(パーマ)理論」というものです。


「Positive Emotion(ポジティブ感情)」「Engagement(没頭、没入)」「Relationship(人間関係)」「Meaning(意義)」「Achievement(達成)」の頭文字をとったこの理論では、これら5つの構成要素がそろっていると人は幸せを感じながら暮らせますよ、と言われています。


2つ目に、「居場所と舞台」が大事だという話もあります。
自分が存在価値を感じられる「居場所」があって、自分が主体となって表現する「舞台」があると「PERMA」の要素を実現しやすくなるという、ウェルビーイングの土台になる部分ですね。
居心地がよくて、自分のことを認めてくれるような環境があることが大事なんです。


3つ目は「利他的な心」。自分のことばかりじゃなく、人のことも思いやることができるということです。
人に喜ばれたらうれしいですし、そんなふうに思いやりを持って暮らしている自分の姿が好きだと、自己肯定できるはず。
みんながみんな、思いやりと感謝の気持ちを持って暮らしている社会っていうのは、きっと暮らしやすい社会なんじゃないでしょうか。


まずは自分にとっての幸せって何かな、というところを一人ひとりに意識してもらって、富山県としてはそれを実現させるためのサポートや環境整備を進めていくことでウェルビーイング向上につなげていきたいと考えています。


→富山県ウェルビーイングの推進について詳しくはコチラ



転勤族の方々にも富山で幸せを感じてもらいたい


―――富山県民のウェルビーイングを高めることによって、人の流動性を活発にしていこうというのが伝わってきました。
そこで富山県では、「関係人口」の創出に力を入れていると聞きますが、このことについて教えていただけますでしょうか。


牧山課長:富山県は、富山に関わって、富山に対して“認知”と“好感”を持ってくれる人たちを増やそうという考え方にシフトしてきています。
成長戦略の中でも、『幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山』をビジョンに掲げています。
幸せ人口の中には、富山県民の方々も含まれています。


「関係人口」という視点に立ったときに、富山県に関係する転勤族の方々に対してなにかできないかと思ったんです。


仮に自分が他の県に行って、そこでどんなふうに接してもらえたらうれしいかなとか、同じ仲間がいたら心強いなとか、地域との接点になるものや情報を得られるようなコミュニティがあると安心だなって思います。
そんなところに思いを馳せるところから、今回のとやま転勤族コミュニティ「E-TENKI」は始まっているんです。


E-TENKI

“県民の”ウェルビーイングを高めるとは言っていますが、富山県に住んでいる転勤族の方々はもちろん、住んでいなくても富山に好感を持ってくださるような方たちにもウェルビーイングを感じてもらえるような取り組みをしていきたいと考えています。


転勤族のみなさんにとって、「E-TENKI」は人とのつながりも感じられて、またどこかに転勤しても自分の記憶のなかでいい形で富山県を思い出してもらえるようなツールになれば嬉しいです。


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仕事の都合でたまたま富山に来た転勤族。
でもこの土地で、人との交流を通してつながりや居心地の良さを感じてもらい、地域と深くかかわってもらいたい。いずれはここを好きになってもらえるように。転勤も悪くないな、と思ってもらえるように。


そんな思いのもと、オンラインコミュニティという形で「E-TENKI」は始動しました。
後編では、「E-TENKI」が実際に動き出してみてどんなふうに機能しているのか、さらに今後の課題や展望についてお伺いしていきます。


後編へつづく


文・インタビュー:あずま るに / ライター / 焼き菓子のお店única(ウニカ)店主


※あずま るにプロフィール:東京出身。お菓子作りの夢を追って富山に来たのが7年前。農家でのお菓子作り、富山県移住相談員を経て、第一子の育休中にフリーライターに転身することを決意。店舗を持たない小さな焼き菓子店との“二足のわらじ”に挑戦中。
生粋の富山男子である夫、3歳と0歳の娘たち、甘ったれ茶トラ猫と暮らしています。

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