私たち「一般社団法人TENKIN LAB(テンキンラボ)」が転勤妻のみなさんに行ったアンケートについてお伝えするシリーズ。
後編の今回は、実際のアンケート結果から見えてきた転勤妻の悩みや、その解決への手掛かりを探っていきたいと思います。
「【転勤妻へのアンケートから見えてきたこと 前編】 私たちの活動の軸にあるもの」はこちら
前回は、転勤妻へのアンケート実施の経緯や転勤妻を取り巻く状況についてお伝えしてきました。
アンケート実施前に行ったインタビューで「仕事」や「地域とのつながり」に悩んでいる方が多いということがわかり、そこを軸に実施した今回のアンケート。
転勤妻のみなさんは具体的にどんなことに悩みを抱え、どんなサポートを必要としているのか…早速、アンケート結果の中身を見ていきましょう。
働くことで得られる“社会とのつながり”
今回アンケートに答えてくださったのは102名の転勤妻のみなさん。
年齢層は20~50代と幅広いですが、約9割が30~40代の方でした。また、ほとんどがお子さんのいるご家庭。
転勤スパンはそれぞれですが、約半数は3年以内と短いスパンで転勤を経験されているようです。
仕事に関するアンケートということで、まず注目すべきポイントは、約9割の方が転勤前にはなにか仕事をしていたことがあり、転勤や出産を機に仕事を辞めてしまうことが多いということです。
さらに、「仕事をしていないことで地域・社会とのつながりが弱くなると感じた」と回答したのは70%以上。仕事をしていないことで、社会的孤立を感じている転勤妻はたくさんいることがアンケート結果から見えてきました。
多くの人が仕事によって地域・社会とのつながりが得られると感じ、なんと99%の転勤妻は「働きたいと思っている」という結果も。しかし、約半数の人は望んだ仕事を得られなかったと回答しています。
働きたい転勤妻はたくさんいるのに、どんなことがハードルになって希望する仕事に就けないのでしょうか?
子育て、家庭との両立の難しさ
多くの転勤妻は実家から離れたところに暮らしている上、周りに知り合いもいないことがほとんど。
そんな、頼れる人がいない状況の中での子育てに大変さを感じている現役転勤ママも多いのではないでしょうか?
その上さらに働くとなると、勤務時間、子どもへの影響、自分の体力…様々な問題が押し迫ってきますよね。
実際アンケートでも、「子どもの事情で望んだ仕事に就けなかった」「手助けがなく、家庭と仕事の両立が難しいため望んだ仕事に就けなかった」という回答が多く見られました。
また、「転勤のため望んだ仕事に就けなかった」という回答も多く、いつ転勤になるかわからないという転勤族ならではの事情もあるようです。
このことから、“ワンオペ子育て”など転勤妻特有の状況でも、家庭と両立できるような働き方が求められていることがわかります。
同時に、そういった状況にある転勤妻たちの手助けとなるサービスや仕組みが必要なのではないかと私たちは考えました。
求めているのは“人とのつながり”
仕事をすることで社会とつながりたい、でも家庭のことを考えると仕事をするのはなかなか難しい…と感じている転勤妻がたくさんいることが、ここまでの結果から見えてきました。
その一方で、転勤生活で求めているサービスなどについて質問したところ、就業支援情報よりも交流会・ツアーなど、転勤族同士や地域の人と触れ合えるイベントに参加したいという声が多く聞かれました。
仕事の悩み以外でも、子育て関連や地域の情報、人間関係など様々な悩みや疑問を抱える転勤妻のみなさん。
同じ境遇の人や地域の人と触れ合うことで、そういった悩みを共有したり、解決したりできるような場を求めているのではないでしょうか。
また、仕事以外でのつながりを作るという意味でもそういった場を必要としているのだと思います。
今回のアンケートで明らかになったことは、転勤妻のみなさんは「人、地域社会とのつながり」を求めているということ。
そのつながりを感じるためのツールの一つとして「仕事」があり、仕事を通して社会とつながっていたいという思いがあることがわかりました。
それでは、私たちTENKIN LABができることは…?
まずは、こういった転勤妻を取り巻く状況があり、転勤族だからこその悩みを抱えている人たちがたくさんいるということを広く社会に知ってもらうこと。
「働きたい」「地域とつながりたい」と思っている転勤妻のみなさんの存在は、地域・社会にとっても必ずプラスになるものだと思っています。
だからこそ、転勤妻のみなさんへ人・地域とつながる交流の場の提供がもっと必要だと考えました。
そのために、地域の企業や自治体と協力しながら、仕事紹介やマッチング、「転勤族ママ交流会」をはじめとする交流会や地域を知るイベント・ツアーの開催などに力を入れ、ここまで活動してきました。
コロナ禍でなかなか対面でのイベント開催などが難しい状況が続いていますが、それでもオンラインで実施したり、WEBマガジン、SNSでの情報発信など、様々な形で転勤妻のみなさんと“つながる”ことのできる場の提供を模索しています。
2021年2月に一般社団法人となったTENKIN LAB。
今後さらに地域、自治体と連携した事業を展開し、現在は富山での活動が中心となっていますが、全国に散らばる転勤族ネットワークを生かして、つながりの輪をどんどん広げていきたいと思っています。
転勤妻のみなさんが自分らしい“転勤Life”を見つけ、もっと毎日を楽しめるように…。そんなことを願いながら、これからもTENKIN LABは活動を続けていきます。