「生き方いろイロ 転勤トイロ」vol.1 金子花苗さん 自分らしくいられるように。変わることを恐れずに進み続けたい【後編】

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“金子さん前篇”/

富山市で母乳育児支援の「かねこ助産院」を施設開業した金子花苗(かねこ・かなえ)さんへのインタビュー。
前編では、【家族】【健康】【変化】という大事にしている3つの価値観を教えてくれました。


(前編はコチラから)


後編では、いよいよ金子さんがどんな思いで定住地を決め、助産院開業に至ったのか、その道のりをお聞きしていきたいと思います。



きっかけはいろいろ、決め手は子育て環境


子育て環境

金子さんは転勤族の旦那さんに帯同して、滋賀県、石川県と住まいを移すあいだに、お子さんが2人産まれ、富山市に引っ越してきたのが2019年4月。ちょうど、娘さんが小学校に上がるタイミングでした。


「結婚した当初は富山市に住んでいたのですが、すぐに滋賀県草津市への転勤が決まりました。それから石川県金沢市を経て、2019年富山市に戻った転勤は夫にとって2回目にあたります。私自身、射水市(富山市のお隣)出身ということもあったし、この年は長女の小学校進学という大きなタイミングだったので、『今後また他県に転勤したら、富山へ戻る3回目はなさそうだし、ここらで家を考えよう』という話になり、定住することに決めました。」


お子さんの進学、実家近くへの転勤、3回目の転勤はもうないこと…様々なタイミングが重なり、定住地を富山市に決めた金子さん一家。今後旦那さんの転勤が決まったら、単身赴任する予定です。


「夫は出身が関西なので、滋賀県に住んでいたときにそちらで家を購入することも考えました。でも、夫が単身赴任になったときに、私が知らない土地で子どもを抱えて一人でいるのはよくないねという話になって。
子育て環境や、富山の平和でまったりした雰囲気がいいなと思ったのも、ここに住むことを決めた理由のひとつです。
今住んでいるところは、子どもがもう少し大きくなったとき、車で送迎しなくても公共交通で移動できるような場所です。そういったことも見据えて引っ越し先を決めました。」



開業助産師という道を選んだ理由


金子さんは結婚して最初の転勤が決まるまでは、病院で正規職員として勤めていました。


「夫の転勤についていくことになったときに、私は退職するしかなかったんです。1回病院を辞めてしまって、今後も転勤の予定があるとなると、もう一度正規職員として働くことは難しい。とくに辛かったのは、産休・育休制度を利用している同僚をたくさん見てきたので、自分はその制度を利用できなくなるんだということでした。」


滋賀への転勤当初は、お子さんもおらず、仕事もしていない状態。習い事に通ってみたりしても同世代の友達はできず…


「すぐに『孤独、つらい…』となってパートを探し始めました。そのときは本当に、人や社会とのつながりって大事だなとつくづく思いました。」


その後、保健師の資格を生かせる職場でパートとして働いていましたが、お子さんの出産を機に退職。しばらくは子育てに専念するつもりでした。


「最初は1年で社会復帰なんて思っていなかったのですが、子育てをしていく中で、子どもはもちろん可愛いけど、外に働きに出ていくほうが私らしいなというのを感じて。子どもと向き合うことだけじゃなくてもいいんじゃないかなと思いました。
正規職員として働くことは難しい状況だったので、娘を保育園に入れるとなると独立開業という道が見えてきました。娘が1歳になるころに訪問助産院として開業しました。」


子育てと仕事

2021年、「かねこ助産院」施設スタート


訪問助産院として開業してから8年になった今年2021年に「かねこ助産院」を本格スタートした金子さん。施設開業に至った経緯を聞いてみました。


「訪問のニーズもあったので現状に不満があったわけではなかったです。ただ、訪問だと移動する分どうしても時間の縛りが出てきてしまって。急な患者さんに対応できず、予約が1、2週間先まで埋まっているなんてことも増えてきて…。困っている方を助けたくて開業しているのに、このままじゃだめだ。本当に困っているときに予約が取りにくい訪問助産院というのはなんかいやだなと感じていました。


お産を取り扱わない助産院は自宅で開業することもできるのですが、私の場合、家は安心できる家族だけの場で、仕事場は別にしたいと思っていて。かといって、テナント探しにそこまで労力を割けずにいたところに、今の場所でやってみないかと声をかけていただき、具体的にイメージできるようになっていきました。」


施設開業したことで、急な患者さんも受け入れられるようになり、より多くの方を診ることができるようになってきているそう。金子さんの生き生きとした様子がうかがえます。


「この仕事をやっていてよかったなと思うのは、ママと赤ちゃんの成長を一緒に見守れること。卒乳や断乳まで見届けられると、ジーンときます。
ママ自身が、「育児って楽しい!」と思える場面に関われることが嬉しくて。親戚のおばちゃんのような気分になります(笑)」


赤ちゃんを見つめる金子さん

今はまだお子さんも小さいので、家族の予定を見ながら仕事の量を調整しているという金子さん。
助産院で大切にしている、「ママが笑顔でいられるように」という思いは、きっと、無理なく自分らしくいられるように、できることをやってきたご自身の経験から伝えたいことなのではないでしょうか。


今回のインタビューで金子さんは、【家族】【健康】【変化】を大事にしている価値観として挙げてくれました。
そんな金子さんが進んできたのは、ご自身も含め、周りの人みんなが健康=笑顔でいられることを大事に選んできた道。そのためだったら、変わっていくことだって前向きにとらえ、新しいことへチャレンジし続けることができるのだと思います。


最後に、転勤妻のみなさんにメッセージをお願いします!


「せっかくご縁があって住むことになった場所。ぜひその土地を楽しんでください!
滋賀県にいたとき、出身が富山のママたちと出会って、「富山ママ会」として集まっていました。彼女たちとは今でも連絡を取りあう仲に!違う土地で出会ったからこそ、仲良くなれたんじゃないかと思います。定住していたら出会えなかった人たちとつながれるのは、転勤のいいところですね。」


▶かねこ助産院HP
▶ブログ


このまちのお気に入り
【日常の景色】
街を歩いていたりすると、カメラマンさんがよく写真を撮っているのを見かけるんです。
きれいなんだろうなと思ってカメラマンさんと同じアングルで撮ってみたり。普段の風景になりつつあるけど、立ち止まってじっくり見てみると、素敵な風景がたくさんあるんだろうなと思わせてくれます。
ちなみに夫は、ケーブルテレビなどのローカル番組が好きでよく見ていますよ。
▼金子さんがご自身で撮影した富山の日常風景。
青空と富山城
青空と富山城
街並みにある立山連峰
街並みにある立山連峰


インタビュー・文:あずま るに / ライター / 焼き菓子のお店única(ウニカ)店主


※あずま るにプロフィール:東京出身。お菓子作りの夢を追って富山に来たのが6年前。農家でのお菓子作り、富山県移住相談員を経て、第一子の育休中にフリーライターに転身することを決意。店舗を持たない小さな焼き菓子店との“二足のわらじ”に挑戦中。
生粋の富山男子である夫、1歳の娘、甘ったれ茶トラ猫と暮らしています。

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