毎年この時期は新年度、新学期、新生活で心躍る春から、ようやく少し生活が落ち着く5月。
しかし今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、すべての活動が自粛、中止、延期となり、普段とは全く違う生活を強いられていると思います。
子どもたちは臨時休校を余儀なくされ、親も在宅ワーク、テレワーク、時間差出勤など生活が一変。
学童も保育園・幼稚園も休みになり自宅で保護者が対応しなければならなかったことでしょう。
外出が減って支出が減ったかもしれませんが、食費、光熱費の出費がかさむ。
収入も減ったかもしれません。
1日中家に閉じこもって、子どもと時間を過ごし、家事もこなさなければならない、財布も守らなければならない、命も守らなければならない主婦・夫婦は、本当に大変だったことでしょう。(もちろん、自分の命を懸けて、この未知なるウイルスと闘っている方々はもっと大変だと思うし、感謝してもしきれないほど。)
終わりが見えない(わからない)生活に、疲れるし、苦しいし、怖いし、正直心穏やかになれない。
「生きる力」とは?
私は生きる力を育むための活動、主に屋外での活動を子どもたちに提供しています。
(活動についての記事 ■子どもに身につけさせたい「生きる力」)
そもそも「生きる力」とはどういうことでしょう?
何があっても生きていく力?生き抜く力?
「生きること」ができる力?
では、「生きること」ってどういうことでしょう?
何不自由なく生活することでしょうか?
毎日をただ生きていくことでしょうか?
毎日を過ごすことだけでしょうか?
私は「生きる力」とは
「自分らしく、自分のできる事、自分のやりたいことを与えられた環境の中でやり続けて生きていくこと」
だと思っています。
つまり、どんな場面においても「自分らしく輝いていること」です。
この「自分らしく」という所が一番重要なのですが、「自分らしく」がそもそもわからない人が多いことも事実。
「自分らしく」が分かっている人は、多少、周りから傷つけられても「自分」を崩さないで合わせる方法を見つけるし、自分の想い通りにならなくても「自分」を信じて乗り越えることもできる。
一方、「自分らしく」がない人は、自分が傷つかない空間を守るために必死に周りを固め、周りを攻撃し、責任転嫁し、自分ではどうにもならないことを何とかしようとする。
そのため、苦しくなり、悲しくなる人が多くなる気がします。
転勤して、引っ越しをした際、まずそこで、自分の居場所を見つけると思います。
地域でも、学校でも、職場でも、自分の居場所を見つける。
その際、周りに流されるまま、周りに合わせるだけで居場所を作ろうとすると苦しくなりませんか?
それは「自分らしさ」がないからかもしれません。
「生きること」は手段。自分らしさを出すには?
ただただ毎日を「生きていること」は、目の前にぶら下がっている問題には目を向けず、苦しいことは回避して、ただただ前に進んでいるだけ。
それは「生きること」が目的だから。
「生きること」は手段なのです。
もちろん命は大切です。
生きていくことは大切です。
でも、生きることは「何かを成し遂げるため」の手段です。
どうやって生きるか?
どのように生きるか?
自分にとって大切なことは何か?
大事にしたいことは何か?
それがあれば「自分らしさ」が出てきます。
自分の「あるべき姿」があれば、おのずと「生きること」は手段になり、どんな時でも「自分らしくあろう」とする。
どんな職業についても
どんな状況でも
どんな環境でも
どんな困難に立ちふさがっても
職場や社会、地域や環境に文句を言ったり疲弊したり、ましてや他人を誹謗中傷などしたりしない。
人と比べて落ち込んで卑屈になったり、人を蹴落としたりしようとしない。
自分の「あるべき姿」になるために
自分ができる事を知り
自分ができないことは認め=自己肯定力
できる事はできない人のために使い、
できないところはできる人とつながって=コミュニケーション力
「自分」として生きることを全うしようとする。
すべてを受け入れ、理解し、その中で自分のできる事をやる=問題解決力。
これが「生きる力」
つまり「自分らしく輝く」ために必要な3つの力だと私は思います。
そして、その3つの力は常に連動していて、重なり合い、成長し続けることで「生きる力」も強くなります。
こんな時だからこそ、今一度「自分らしさ」について考えてみませんか?
「自分はどうありたいか?」
「自分はどう生きていきたいか?」
「何が大切か?」
私は、自然活動の中で、子どもたちの成長にビックリしながら、このことを子どもたちに伝えていきたいと思っています。
「子ども会議」から見えてくる「生きる力」
この、コロナの緊急事態宣言中に、子どもたちに向け「子ども会議」を毎日おこなってきました。
平日の毎朝リモートでつないで、「ワクワクすることやってみよう!」を合言葉にワクワクしたこと、楽しかったことの発表と、今日やる「ワクワクすること」の発表。
ただ、それだけだったのですが、子どもたちはその中で「自分らしく」毎日を生活することができたようです。
外にも出られない、一人で留守番しなければならない、話す人、会う人は家族だけ。
そんな中で子どもたちも最初は暗く、表情もなく、質問も、投げかけもすべて気のない返事ばかりでした。
自粛生活の毎日がつまらなくて時間を過ごすためだけの毎日から
「ワクワクすること」=「自分にとって大切なこと」を話して、
それをするために毎日を生活し「自分らしく」過ごす時間ができた。
与えられた空間と環境の中でも「自分らしく」生活すること。
子どもたちは「子ども会議」の中で「生きる力」が育まれ、発揮されていったのだと思います。
次回は、「自分らしく輝く」ための3つの力のうち、「自己肯定力」についてより具体的にお話しします。
写真・文:池田美佳/子どもの心育(ここいく)コンサルタント、「寺子屋つながリンク」代表
池田美佳プロフィール:小学生時代にキャンプの魅力に取りつかれ、様々なキャンプ場でのスタッフ経験を経て、渡米。アメリカの本場でレクリエーションマネージメントを学び、キャンプ場でインターンシップを経験。帰国後、山村留学指導員、移住定住促進員を経て結婚を機に「寺子屋つながリンク」を立ち上げ、自分の想いを伝えるため、独自の教育プログラムを組み立て、野外体験教育活動を展開、実践。「生きる力」を育むためのプログラムを企画し子ども主体で活動を進められるようファシリテートしていく野外体験教育を手掛ける。
夢は子どもたちが自分たちの力で輝き、自分の人生を前向きに楽しんでいる姿が広がること。そして、そういった子どもたちを、周りの大人たちみんなで見守り育てていく「共育」の場を作ること。